生きるってことは大変だよ
生きるってことは大変だよ
今日はケアマネジャーの仕事で、家族と同居している96歳の女性と、95歳の1人暮らしの女性、
90歳のご主人と奥さんの高齢者夫婦のお宅を訪問しました。
若い人はピンとこないと思いますが、介護に携わる仕事をしている私たちの感覚では、
60~70歳代はまだ若い、80歳~90歳代はお年寄り、100歳以上をすごい長生きと感じます。
昔は100歳以上のお年寄りには少なかったので、国や県や市からたくさんの品物やお金が出ましたが、
今は多すぎて予算が回らないほど、本当に超高齢化社会ですよね。
介護をする人の心と体を整えるケアマネカウンセラーの吉田和枝です。
今日訪問した私の担当の3人は皆、若い頃から80歳位まで、
社会に出て活躍してこられたばかりの方々です。
96歳の女性は、専業主婦でしたが60歳過ぎてから、俳句や鎌倉彫など15もの趣味や習い事をしていました。
90歳代の1年は、80代の頃とは比べ物にならないほど、老いを早く感じるそうです。
「目が白内障で見えなくなり、耳が遠くなってから、何もやる気が起きなくなった。
1日1日を生きるのが大変だよ」そう呟きました。
優しいご家族がそばで、面倒をみてくれるので、動くのは最小限、それでも大変だと
言います。
95歳の女性は、80歳代まで、地域に貢献して国から勲章を頂いた経験があります。
子供達が独立して、夫が亡くなってから一人暮らしを続けています。
心臓や腎臓が悪いので、足が浮腫んだり、足の筋力が落ちて歩くのが本当に危ない。
何度も転んでいます。
手すりや歩行器、杖で対応して、やっと生活しています。
それでも、台所に立って食事を作り、自分でお風呂を沸かして入ります。
「自分のペースで生活できる今の環境が、とても幸せなんだよ」と話します。
この間の台風では、避難の指示がでましたが、この足ではほかの人の迷惑になる
からと、避難しませんでした。
「いざとなったら、2階に逃げるし、この歳まで生きたらもういいでしょ」と
笑っていました。
90歳の男性は、会社を定年後、自宅近くの畑を借りて果物や野菜つくりや卓球など、
いつも体を動かしていて、奥さんの介護もしています。
遠乗りはしませんが、自動車も運転します。
年相応の物忘れはあるかもしれませんが、びっくりするほどよく働いています。
自宅で採れた自慢の果物を、いつもお土産に持たせてくれます。
そんな、ご主人に介護されている奥さんは、足が悪いですが幸せそう。
家事はもうできないけど、出来るだけ、ご主人の世話にならないようにトイレまで杖で、
歩くことだけは頑張っています。
人は、生活環境やその人の持つ性格により、老いの姿も十人十色です。
ただ、言えることは、頭を使うことに加えて、体を動かしている人は健康長寿だということ。
脳トレブームで、自宅でパズルなどに励んでいる人もいます。
脳トレもやった方がいいですが、一番の認知症予防は、歩行することだと
言われています。
その理由は、脳の血流が良くなるからだそうです。
「生きるってことは大変だよ」という言葉を聞いて、いくつになっても
生きることは挑戦なんだと感じた一日でした。
